○海南市議会基本条例

平成29年12月8日

条例第18号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第4条―第8条)

第3章 市民と議会の関係(第9条―第12条)

第4章 議会と行政の関係(第13条―第16条)

第5章 議会運営(第17条―第19条)

第6章 議会の機能強化(第20条―第25条)

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第26条―第28条)

第8章 見直し手続(第29条)

附則

地方分権一括法が施行され、地方自治体は自らの判断と責任により、地域の実情に沿った行政を展開していくことが求められています。

このような中、二元代表制の趣旨を踏まえ、議会は市民の負託を受けた議事機関として、これまで以上に執行機関の監視機能を十分に発揮するとともに政策立案機能を強化する必要があります。

このため、海南市議会は、平成25年に議会改革ワーキンググループを設置し、「開かれた議会」、「活力ある議会運営」、「積極的な政策提言」の3点を議会改革の方向性として定め、調査研究を行い、翌年に設置した議会改革特別委員会において、さらにその議論を積み重ねてきました。

そしてここに、海南市議会は、二元代表制の一翼を担う議事機関として、民主的な市政の発展及び市民の福祉の増進に寄与するため、海南市議会における最高規範としてこの条例を制定し、全力をあげてこの条例の理念と目的を達成することを誓います。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制の下、議会及び議員の役割を明確にするとともに、議会及び議員の基本的事項を定めることにより、議会の活性化を図り、民主的な市政の発展及び市民の福祉の増進に寄与することを目的とします。

(本条例の位置づけ)

第2条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃するときは、この条例と整合性を図らなければなりません。

(基本方針・理念)

第3条 議会は、二元代表制の一翼を担う議事機関として、その自覚と誇りを持ち、市民自治の考えを基本に真の地方自治の実現に全力を挙げるものとします。

2 議決責任を深く認識し、市の意思決定を行うとともに、市民の意見を市政に反映させます。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第4条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動します。

(1) 公正性及び透明性を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 議決責任を深く認識し、市の意思決定を行うとともに、市政の課題並びに議案等の審議及び審査の内容について、市民への説明責任を果たすこと。

(3) 市政運営の監視及び評価を行うこと。

(4) 政策立案及び政策提言に取り組むこと。

(5) 議員発議による条例制定に取り組むなど、立法機能の発揮に努めること。

(6) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政及び議会運営に反映させること。

(7) 議員間の自由闊達な議論により、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにすること。

(8) 議会の役割を追求し、不断の議会改革に努めること。

(議員の活動原則)

第5条 議員は、市民の負託を受けて議員に選出されたことを自覚し、議員として必要な資質の向上に努めるとともに、誠実かつ公正な職務の遂行に努めます。

2 議員は、市民の多様な意見を的確に把握し、必要な政策立案及び政策提言を行うとともに、議会活動について市民への説明に努めます。

3 議員は、一部の団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の増進を目指して活動します。

(政策提案及び政策提言)

第6条 議会は、市の政策水準の向上を図るため、政策立案機能の強化に努め、条例の提案、議案の修正、決議等を通じて、市長等に対し政策提案及び政策提言を行います。

(政務活動費)

第7条 政務活動費の交付を受けた議員は、別に条例で定めるところにより、適正に使用しなければなりません。

2 議員は、政務活動費の使途の透明性を確保し、市民に対し説明責任を果たすため、収支報告書、領収書等を公開しなければなりません。

(災害時の対応)

第8条 議長は、市が災害対策本部又は国民保護対策本部を設置したときは、市の災害対策及び災害復旧に寄与するため、海南市議会災害対策支援本部を設置するものとします。

2 議員は、海南市議会災害対策支援本部が設置されたときは、別に定めるところにより、迅速かつ適切に行動するものとします。

第3章 市民と議会の関係

(説明責任)

第9条 議会は、市民への説明責任を果たすとともに、各種情報メディアや多様な機会等を活用し、情報公開に努めます。

(意見交換会)

第10条 議会は、市民の多様な意見を把握し、市民参加の推進に努めるとともに、市民との意見交換の場を多様に設けます。

(請願者及び陳情者の説明機会)

第11条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案として位置付けるとともに、その審議において、必要があると認めるときは、請願者及び陳情者の意見を聴く機会を設けるものとします。

(公聴会及び参考人制度の活用)

第12条 議会は、公聴会制度及び参考人制度を活用し、市民の意見及び専門的知見を議会活動及び政策立案に反映させるよう努めます。

第4章 議会と行政の関係

(一般質問)

第13条 議員は、一般質問を行う権利を有します。

2 一般質問は、行財政全般にわたって、市長等に対し、事務の執行の状況、将来に対する方針等について所信を質し、報告若しくは説明を求め、又は疑問を質すことを目的とします。

3 再質問を行う場合においては、論点及び争点を明確にするため、一問一答制とします。

(質疑)

第14条 議案等に対する質疑は、論点及び争点を明確にして行うものとします。

(反問権)

第15条 本会議又は委員会に出席した市長その他の執行機関及びその職員は、議員から質疑又は質問を受けたときに、その論点を明らかにするため、議長又は委員長の許可を得て、当該議員に対し、反問することができるものとします。

(政策提案の説明要求)

第16条 議会は、市長等が提案する重要な政策等について、論点を明確にし、議論の水準を高めるとともに、議決責任を担保するため、市長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めます。

(1) 政策等の提案に至った経緯、理由及び期待される効果

(2) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(3) 提案に至る過程における市民参加の実施の有無とその内容

(4) 総合計画との整合性

(5) 関係法令、条例等

(6) 財源措置及び将来にわたるコスト計算

2 議会は、市長が議決事件に含まれない重要な政策等を提案するときは、あらかじめ、議会の意見を聴く機会を設けるよう求めます。

第5章 議会運営

(会派)

第17条 議員は、議会活動を円滑に実施するために、会派を結成することができます。

2 会派は、議員の活動を支援するとともに、政策立案及び政策提言のために調査研究を行い、必要に応じて会派間の調整に努めます。

3 議会は、会派間の公平性の確保と会派に所属しない議員の意見が議会運営に反映されるよう配慮します。

(自由討議)

第18条 議員は、議員間で自由な討議を重ねて合意形成に努めるものとし、あらゆる会議において、自らの意見又は考えを丁寧に述べるとともに、他の意見に対しても真摯に耳を傾け、議員間での討議を尽くします。

2 議長、委員長等は、議員間での討議を中心に会議を運営し、その結果を市政に反映させられるよう意見集約に努めるものとします。

(会議の公開)

第19条 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会及び全員協議会を原則公開とします。

第6章 議会の機能強化

(議決事件の追加)

第20条 議会は、議事機関としての機能強化のため、必要に応じて地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づき議決事件を追加するものとします。

2 前項の規定に基づく議会の議決すべき事件については、別に条例で定めます。

(附属機関の設置)

第21条 議会は、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、附属機関を設置することができます。

(議員研修)

第22条 議会は、政策提言及び政策立案能力の向上を図るため、研修を実施します。

2 議会は、研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との研修会を開催するものとします。

3 議会は、この条例の理念を議員間で共有するため、一般選挙を経た任期開始後、この条例のほか議会関係法令等に関する研修を行うものとします。

(議会図書室)

第23条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書等の充実に努め、その有効活用を図ります。

2 議会図書室は、誰でも利用することができます。

(予算の確保)

第24条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めます。

(議会事務局の拡充)

第25条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法制機能の充実を図ります。

2 議会事務局は、議員の議会活動に必要とされる情報の提供に努めます。

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(政治倫理)

第26条 議員は、良心に従い、誠実かつ公正にその職務を行わなければなりません。

2 議員は、品位を損なうような行為を慎むとともに、その職務に関して疑惑を招くおそれのある行為をしてはなりません。

(議員定数)

第27条 議員定数は、別に条例で定めます。

2 議員定数については、本市の財政状況、類似都市との比較、市政の現状と課題及び将来予測、常任委員会の構成人数等を総合的に勘案するとともに、市民の意見を十分に考慮するものとします。

(議員報酬)

第28条 議員報酬は、別に条例で定めます。

2 議員報酬については、社会経済情勢、本市の財政状況、類似都市との比較、市政の現状と課題及び将来予測等を総合的に勘案するとともに、市民の意見を十分に考慮するものとします。

第8章 見直し手続

(見直し手続)

第29条 議会は、一般選挙を経た任期開始ごとに、議会運営委員会においてこの条例の目的が達成されているかどうかを検証するとともに、随時、社会情勢の変化等を勘案し、必要に応じてこの条例の改正を含め適切な措置を講じます。

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

海南市議会基本条例

平成29年12月8日 条例第18号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成29年12月8日 条例第18号