○海南市職員等の公益通報に関する規程
令和2年3月30日
訓令第9号
(目的)
第1条 この訓令は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえて、本市の職員等による公益通報に関して必要な事項を定めることにより、通報者の保護を図るとともに、本市の法令遵守等を確保し、適法かつ公正な市政運営を推進することを目的とする。
(1) 職員等 次に掲げるものをいう。
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員
イ 本市から業務を受託し、又は請け負った事業者の役員及びその業務に従事している者
(3) 通報対象事実 第7条第1項に規定する、職員等による法令違反、条例違反その他の不当な行為又は本市の法令遵守の確保及び適正な業務遂行に資する事実をいう。
(4) 公益通報 職員等が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的でなく、通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると思料する旨を通報することをいう。
(5) 任命権者等 職員の任命権者又は職員を監督する立場にある者をいう。
(1) 教育委員会に属する職員等 教育委員会総務課
(2) 医療センターに属する職員等 医療センター事務局総務管理室
(3) 消防本部に属する職員等 消防本部総務課
(4) 前各号に掲げるものを除く職員等 総務部総務課
2 内部通報窓口は、次に掲げる事務を取り扱う。
(1) 本市及び本市職員による法令違反行為等に関してなされる公益通報の受付に関すること。
(2) 内部通報窓口の公益通報への対応についての意見又は苦情の受付に関すること。
(3) 通報者との連絡調整に関すること。
(4) 本市の各部署との連絡調整に関すること。
(法令等遵守担当)
第4条 各部署の所属長をそれぞれの部署の法令等遵守担当とする。
2 法令等遵守担当は、職員等から内部通報窓口になされた通報の対応に協力するとともに、通報を行った職員等の保護の徹底を図るものとする。
3 法令等遵守担当は職員等から直接通報等を受けた場合には、通報者から通報の内容となる事実の概要その他の必要な情報を聴取し、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護、通報を理由とする不利益取扱いの防止に留意しつつ、通報に対し調査及び是正措置を行うものとする。
5 法令等遵守担当は、通報への対応を行った場合には、その概要について、別紙に定める内部通報受付票を用いて、前条に規定する内部通報窓口及び総務部総務課に報告するものとする。
6 前3項の規定にかかわらず、法令等遵守担当での対応が不適当だと判断した場合は内部通報窓口に報告するものとする。
(秘密保持及び個人情報保護の徹底)
第5条 公益通報への対応に関与した職員(公益通報への対応に付随する職務等を通じて、公益通報に関する秘密を知り得た者を含む。以下同じ。)は、公益通報に関する秘密を漏らしてはならない。
2 公益通報への対応に関与した職員は、当該対応手続において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。
3 公益通報への対応に関与する職員は、公益通報への対応に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を図るため、公益通報への対応の各段階(公益通報の受付、調査、是正措置及び通報者への結果通知。以下同じ。)及び公益通報への対応終了後において、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 情報を共有する範囲及び共有する情報の範囲を必要最小限に限定すること。
(2) 通報者の特定につながり得る情報(調査等が通報を端緒としたものであること、通報者等しか知り得ない情報等を含む。以下同じ。)については、被通報者及びその関係者に対して開示しないこと。
4 内部通報先における公益通報への対応に際する秘密保持及び個人情報の保護に関しては、前3項に定めるもののほか、個人情報の保護に関する法令その他関係法令等に従うものとする。
(利益相反関係の排除)
第6条 職員は、自ら当事者となっている案件に関する通報その他の利益相反関係を有する案件についての公益通報への対応に関与してはならない。
2 公益通報への対応に関与する者は、公益通報への対応の各段階において、相互に当該通報に利益相反関係を有していないか確認するものとする。
3 公益通報への対応に着手しようとする者は、当該案件について自らが利益相反関係を有すると思料するときは、直ちに各内部通報窓口の長にその旨を伝えなければならない。
(1) 法令に違反する行為に関する事実
(2) 本市条例、規則その他の規程に違反する行為に関する事実
(3) その他、本市の法令遵守等の確保及び適正な業務遂行に資する事実
2 内部通報先は、公益通報があったときは、法の趣旨を踏まえ、誠実かつ公正に公益通報に対応し、正当な理由なく公益通報の受付を拒んではならない。
(受付手続)
第8条 内部通報先は、通報を受け付けたときは、内部通報受付票に従い、通報への対応に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、通報への対応に必要な事項を通報者に確認するものとする。
(1) 通報に関する秘密は保持されること。
(2) 個人情報は保護されること。
(3) 通報受付後の手続の流れに関すること。
3 前2項において、書面(電子メールを含む。)等、通報者が通報の到着を確認できない方法によって通報がなされた場合には、速やかに通報者に対して通報を受領した旨を通知するよう努めるものとする。
(事案の検討)
第9条 内部通報窓口が通報を受け付けたとき又は法令等遵守担当からの報告を受け付けたときは、当該通報に係る調査の必要性について、各内部通報窓口において公正、公平かつ誠実に検討し、当該通報を公益通報として取り扱う場合にあってはその旨を、公益通報として取り扱わない場合にあってはその旨及び理由を、通報者及び次条に規定する委員会に対し通知する。
(海南市公益通報処理委員会の設置)
第10条 公益通報に係る事案の処理を適切に行うため、海南市公益通報処理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(委員会の所掌事務)
第11条 委員会の所掌事務は、次に掲げるものとする。
(1) 公益通報された事案の調査に関すること。
(2) 被通報者の任命権者等への報告及び是正権限を有する部署への是正措置等の要求に関すること。
(3) 通報者の保護に関すること。
(4) 本市の公益通報制度に係る重要な方針の決定に関すること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、本市の公益通報制度の施行に関し必要があると認める事項
(委員会の組織)
第12条 委員会は、委員長及び委員をもって組織する。
2 委員長は総務部長をもって充てる。
3 委員は、必要の都度、市の職員のうちから委員長が指名する。
4 委員長が不在のとき、又は委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が指名した委員がその職務を代理する。
5 委員会の庶務は、総務部総務課において処理する。
(委員会の会議)
第13条 委員会は、委員長が招集し、委員長は会議の議長となる。
2 委員長が必要と認めるときは、関係者を出席させ、意見又は説明を求めることができる。
3 会議を開くことが困難な場合又は軽易な事案については、会議を省略することができる。
(調査の実施)
第14条 第9条の規定により、当該通報を公益通報として取り扱う旨の通知を受けたときは、委員会は速やかに必要かつ相当と認められる方法で調査を行う。
2 前項の調査をするときは、当該通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者が被通報者及びその関係者に特定されないよう十分に留意する。
3 委員会は、適正な業務執行の確保及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、通報者に対し、調査の進捗状況を適宜通知するとともに、調査結果を速やかに取りまとめ、その結果を遅滞なく通知するよう努める。
(調査の方法)
第15条 通報事実の調査に当たっては、委員会は通報者から面談、電話、電子メール等を通じて聴取を行い、通報事実の内容に誤りがないか確認するよう努める。
2 通報に関して調査又は是正措置を行う必要性がないとして調査を終了する場合には、公益通報を受領したこと又は調査を実施したことについて被通報者の任命権者等に知らせないものとする。ただし、調査の実施の過程で、既に任命権者等へ聴取を行っている場合を除く。
3 調査の端緒が公益通報であることを他の職員に認識させないよう、事案の性質に応じて適切な措置をとるものとする。
(協力義務等)
第16条 委員会は、通報事実の調査等に当たり、任命権者等の協力が必要となる場合には、任命権者等と連携して調査を行い、是正措置をとるなど、相互に緊密に連絡し協力する。
2 委員会から調査の協力を求められた職員は、調査に誠実に協力をしなければならず、調査を妨害する行為をしてはならない。
(調査結果に基づく措置)
第17条 委員会は、調査の結果、第7条第1項に掲げる事実があると認めるときは、速やかに被通報者の任命権者等に調査結果を報告する又は是正権限を有する部署に対し是正措置及び再発防止策をとるよう要求するなどの措置をとらなければならない。
2 前項の是正措置及び再発防止策の要求を受けた部署は、速やかに是正措置及び再発防止策をとるものとする。
3 前項の措置をとった場合には、措置を行った者はその内容を速やかに委員会に報告することとする。
4 委員会は、第2項の措置がとられた場合には、その内容を、本市における適正な業務遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、通報者に対し、遅滞なく通知する。
5 委員会は、是正措置又は再発防止策をとった後、法令違反行為等が再発していないか、是正措置又は再発防止策が十分に機能しているか確認するとともに、必要に応じ、新たな是正措置又は再発防止策をとる。
(通報者の保護)
第18条 通報者である職員の任命権者等は、内部通報先に対し公益通報を行った職員に対し、公益通報を行ったことを理由として、懲戒処分その他不利益な取扱いをしてはならない。
2 委員会は、被通報者が、通報者の存在を知り得る場合には、被通報者が通報者に対して前項に規定する不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、注意喚起をする等の措置をとるものとする。
3 委員会は、公益通報の対応の終了後、通報者に対し、公益通報をしたことを理由とした不利益な取扱いが行われていないかを適宜確認する。
4 委員会は、通報者が、第1項に規定する不利益な取扱いを受けていることが明らかになった場合には、これを是正し得る者に通知し是正を求める。
(意見又は苦情への対応)
第19条 内部通報窓口は、内部通報窓口に対する公益通報への対応に関して通報者から意見又は苦情の申出を受けたときは、迅速かつ適切に対応するよう努める。
(法及びこの訓令の周知等)
第21条 委員会は、本市における通報への適切な対応を推進するため、通報への対応に関する規程類を整備するほか、職員に対する広報の実施その他適切な方法により、法、地方公共団体向けガイドライン及び本訓令に基づく通報の方法、通報の取扱い、通報者の保護の仕組み等について、充分に周知するものとする。
2 内部通報先及び任命権者等は、公益通報の方法、公益通報の取扱い、通報者の保護の仕組みについて職員等から問合せがあった場合には、教示するものとする。
(運用状況の公表)
第22条 委員会は、通報対応の仕組みの運用状況に関する情報を、必要に応じ、速やかに公表するものとする。
(他の法令等との関係)
第23条 公益通報への対応手続については、他の法令(条例、規則その他の規程を含む。)に特別の定めがある場合又はこれに基づく運用がある場合を除くほか、本訓令の定めるところによる。
第24条 本訓令は、職員等が本訓令に規定する者以外の職員に対し公益通報を行うことを妨げるものではない。
(その他)
第25条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この訓令は、令和2年4月1日から施行する。