現在の場所

長保寺

長保寺 本堂

長保寺本堂(国宝)

長保寺は長保2年(1000)一条天皇の勅願寺として建立に着手し、寛仁元年(1017)に完成したといわれ、その後仁治3年(1242)寺地を東に移し、延慶4年(1311)現本堂が建立されたといわれている。当初は法相宗であったが後天台宗、真言宗と変わり、紀州徳川家になって初代藩主頼宣公により菩提寺となって天台宗に改められた。この本堂は桁行五間梁間五間一重入母屋造、向拝二間本瓦葺の建物である。柱頭を細くする粽、組物の笹繰り、挙鼻などの唐様の手法をとりながら、外観の間斗束、蛙股、連子窓、扠首組の妻飾り、内部の組入天井、吹寄せの菱格子などの、和様の手法によっている。すなわち旧来の和様へ当時伝来の唐様を巧みにとり入れ、二つの様式を融和混合し、しかも独自の計画と好意匠に成功した和様唐様折衷様式の典型的な建築である。昭和47年(1972)に解体修理を行ない、正面などの桟唐戸などを修復している。

長保寺 鎮守堂

長保寺鎮守堂(重要文化財)

本堂と多宝塔の間の小径を登ったところにある一間社流造、檜皮葺の小さな社殿である。鎮守堂はかつて鎮守八幡宮、あるいは八幡社と呼ばれていた。この建物の建立年代については確証を欠き、寺伝では本堂多宝塔と同じ時期の建立とされている。享保10年(1725)の調書には典拠はないが、永仁3年(1295)の再営となっており、本堂より古いことになっている。この建物も度々修理がなされ、明治6年(1873)屋根を瓦葺に改めたが、昭和3年(1928)の修理で現在の檜皮葺に復した。トキョウは和様三斗組、正面 の中備えにして束の足元に渦巻絵様の笈形をつけているのはいかにも和様らしい構造である。正面 は格子戸を引違いに装置し、内陣正面は板扉構えとしている。軒は繁垂木で、棟飾りは瓦積にして珍しい一角鬼瓦を納めている。

長保寺 大門

長保寺大門(国宝)

寺蔵の棟礼写「再営由来」によって、嘉慶2年(1388)に後小松天皇の勅宣をうけ、寺僧の実然が建立したとされている。現在門の扁額は紀州徳川藩の菩提寺になってから頼宣が李梅渓に命じて模写 させたものであり、当初のものは妙法院二品親王尭仁の直筆といわれ、裏書に応永24年(1417)6月1日の刻銘があり、現在宝蔵に収納されている。この大門は元和7年(1621)に塔頭最勝院の恵尊によって修復され、その後天和3年(1683)二代藩主光貞公によって修理され、明治43年(1910)には解体修理がされている。三間一戸の楼門で屋根付入母屋造り本瓦葺である。組物は純和様の三手先で三番目のトキョウは尾垂木の上にのり軒を受け、丸桁下に軒支輪をかけ小天井を造っている。小形ではあるが形態のよく整ったこの時代の代表的な楼門のひとつとされている。

長保寺 多宝塔

長保寺 多宝塔(国宝)

この多宝塔は寺伝では本堂と同時に建立されたとなっているが、構造、手法などから見るとやや時代が下るようである。康永3年(1344)の弘法大師御影堂建立の勧進状に塔の名が見えることから考えて、そのころにはすでに建立されていたことが知られる。
本堂が和様唐様の折衷様式であるのに対しこの塔は純和様を採用している。一重と二重の釣合がよく均整のとれた優美な意匠を見せている。さらに著しく低い亀腹と、勾配のゆるい屋根などがよく調和して一層安定感を与えている。細部においても、力強い組物に、美しい蛙腹及び折上小組格天井の雄健な手法など外観、内部ともに多宝塔中の傑作の一つである。この塔は和様であるが内部の仏壇は唐様で、腰の唐草彫刻はきわめて優美な作りであり、正面勾欄は平桁がなく、蕨手と地覆間の網目に巴文の入った透彫は他に類をみない珍しいものである。相輪の九輪は最上部が脱落し今は八輪しかない。

和歌山藩主徳川家墓所

和歌山藩主徳川家墓所

長保寺は、一条天皇(986~1010)の勅願によって、長保2年(1000)二品性空上人が七堂伽藍を創建し、長保の年号を賜り寺号にしたといわれている。現存する国宝建造物の建立年代からみて、鎌倉末期には現在の伽藍は完成していたとみられる。  寛文6年(1666)初代紀州藩主徳川頼宣が、三方山に囲まれた要害の地にあるこの地を廟所と定め天台宗に改めた。浅野幸長より寄進された5石と、さらに寛文12年(1672)徳川家より500石を与えられた。墓所の規模は大きく、墓碑や石灯篭、墓所を造成する石垣等壮麗豪華な石造遺構は、全国的にも近世大名墓所の代表的なものであり、江戸時代の墓制葬制を知る上から、貴重な遺跡としてその価値が認められている。歴代藩主のうち8代吉宗と13代慶福は、将軍となったため墓碑はない。

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