令和7年海南市文化表彰式

更新日:2025年11月11日

令和7年海南市文化表彰式

海南市の文化の向上発展に顕著な功績があった方を表彰する「海南市文化表彰式」が、令和7年11月4日(火曜日)に海南市役所で開催され華道家の岸登子さんと漆芸家の山田健二さんが文化功労賞を、撮影監督の佐光朗さんが文化奨励賞をそれぞれ受賞されました。

表彰式当日の様子(左から岸さん、神出市長、山田さん)

海南市文化功労賞受賞者 岸 登子さん

岸 登子さん 経歴及び功績

昭和7年、海南市に生まれる。昭和20年頃、両親の勧めで華道を始め、嵯峨御流に入門。華名を岸登甫(たかほ)と号し、昭和38年から嵯峨御流華道総司所華道芸術学院初代学院長の長谷川菊州氏に師事し、約10年間研鑽を積み、刀自の称号を得る。以来、華道においては、植物本来の美しさを最大限生かしながら自然を映し取ることを信念とし、100名を超える生徒を指導。生徒に対しては、長年、花と向き合い、継続することで自身の目指すべき道が見つかるとの考えから「華は辛抱」と説き、一人ひとりの心に向き合った指導を続けてきた。
また、平成10年には南インド・オーロヴィルにおける国際交流会に参加するなど、生け花を通じて日本文化を海外に発信することにも力を注いだ。
一方、海南文化協会において40年余り副会長を務め、献身的にその運営に携わり、他の協会員とともに同会の活動を支えてきた。その間、JR海南駅の待合所における生け花展示スペースの設置に 尽力し、市の玄関口を彩る活動に貢献するとともに、長年にわたり地元企業や公民館で生け花の出張指導を行ってきた。
氏のこれまでの活動は、本市の華道文化の振興に大きく寄与している。
 

海南市文化功労賞受賞者 山田 健二さん

山田 健二さん 経歴及び功績

昭和8年、徳島県徳島市に生まれる。若き日に目にした漆器蒔絵の美しさに魅せられ、海南市にて修業を開始。早くから才能を認められ、県展特選の受賞や欧米各国の巡回展に選抜される。その後昭和44年からは、漆器試験場に勤務し、漆工部長、デザイン部長、次長を歴任する。平成4年に勇退後は、漆芸家としての創作活動に再び力を注ぎ、その卓越した技術と芸術性は高く評価される。
卵の殻を用いることで、漆では表現しがたい白色を巧みに表現する「卵殻」の技法に秀で、多くの優れた作品を創作してきた。昭和40年の日展初入選以後29回の入選を重ね、平成10年には海南市文化奨励賞、平成19年には全関西美術展第一席を受賞した。平成28年 には漆芸の技とともに、その人柄や幅広い活動が評価され、東久邇宮文化褒章を受章した。
一方、平成6年以降、スペインにおいて講演や漆芸技術の指導を行うほか、留学生を自身の工房に受け入れ、漆工の研修を行うなど、国際的な技術交流にも力を注ぐとともに、今なお現役の漆芸家として活躍しながら、自らの工房で後進の指導育成を続けている。
氏のこれまでの活動は、本市の漆芸文化の向上発展に大きく貢献している。
 

海南市文化奨励賞受賞者 佐光 朗さん

佐光 朗さん 経歴及び功績

昭和33年、海南市に生まれる。和歌山県立大成高校を卒業後、上京し日活テレビ映画芸術学院に入学。修学中に映画スタッフとして映像の世界へと進み、その後、仙元誠三氏に師事。撮影監督としての道を歩み始める。平成2年に独立して以来、数々の映画作品に携わり、日本を代表する撮影監督の一人として活躍する。
平成15年には「ピンポン」で第26回日本アカデミー賞優秀撮影賞、令和5年には「キングダム2 遥かなる大地へ」で第46回 日本アカデミー賞優秀撮影賞、令和6年には「キングダム 運命の炎」で第47回日本アカデミー賞優秀撮影賞、令和7年には「キングダム 大将軍の帰還」で第48回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞する。海外においても、令和元年にアメリカのアカデミー賞会員になるなど、その高い技術力と撮影表現力は国内外において広く認められている。
氏の撮影は、迫力あるダイナミックな映像が特徴であり、特に移動撮影においては、カメラのブレを最小限に抑える「ステディカム」をいち早く導入し、映像制作の現場に革新をもたらす。また、単身渡米し、本場のカメラワークの技術を学んだ経験を生かし、光の当て方や光量をコントロールする「ライティング」に磨きをかけることで、 被写体の魅力をより引き出す撮影技法を実現している。
国内外の映像分野における氏の活躍は、本市の誇りであり、今後のさらなる飛躍が期待される。
 

受賞者代表 岸登子様の挨拶

本日は、表彰いただきまして、誠にありがとうございます。海南市文化功労賞を受賞   させていただき、大変光栄に思っております。
神出市長様、ご来賓の方々におかれましては、ご多忙の折、ご臨席いただき、また今日までの取組をこのように盛大に讃えていただきましたこと、心より厚く御礼申し上げます。
私が華道を始めましたのは、女学生の頃、落ち着きのない私を案じた両親の勧めでございました。嵯峨御流華道総司所華道芸術学院初代学院長の長谷川菊州先生に師事し、10年間研鑽を積み、その後40代後半から80歳を過ぎるまでは大阪に通い、ご子息の長谷川喜州先生のお傍で稽古の助手も務めさせていただきました。
また、海南文化協会では二代目会長から、四代目会長までの約40年にわたり副会長を務めさせていただきました。その間、海南駅が新築された際に、華道部から「発表の場がない」との声を受け、事務長の東條様、三代目会長の平尾様のお力添えにより、駅待合スペースに生け花のフレームを設置していただくことが出来ました。あの場では、生け込みの最中にも多くの方に足を止めてご覧いただき、花をより身近に感じていただけたことを大変嬉しく思っております。花に親しんでいただくきっかけとなる、場所づくりに関わることが出来ましたことは、私にとっても大きな喜びでございます。
私の持論は、「華は辛抱」でございます。花は一見、簡単に生けられるように見えますが、自分の思い描いたように生けるには、長く根気よく続けて、ようやく小さなことが   わかるようになるものです。続けるということには、辛抱と根性が必要でございます。
振り返れば80年もの間華道を続けてこられたのは、花が好き、人が好き、教えることが好きであったこと、そして何より、今迄ご協力頂いた先生方、社中の皆様方のお力添えがあったからだと心より感謝しております。今回の受賞の知らせをいただいた時、この年齢で本当に勿体ないお話だと思いましたが、推薦してくださった方々のお気持ちに背中を押され、有難くお受けすることにいたしました。
本日の受賞を励みとして、これからも海南市の文化の向上発展に貢献させていただきたいと思っております。今後とも、ご指導ご鞭撻をたまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。      
本日は誠にありがとうございました。
 

岸 登子さん受賞者代表挨拶の様子

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